にがくて甘い

江國さんの書く小説が好きだ。

彼女の見ている世界、紡ぐ言葉、行間に表れるふわっとした何か。

その全てに惚れてしまって、抜け出せない。

 

彼女の書く小説には、大それたストーリー性はない。

 

ただ男と女がいて、不倫をして、浮気して、男を追いかけてどこまでも行く。

普通の夫婦、恋人ではなくて、どこか少し歯車がズレている。

そんな設定を全く暗さや陰湿さを感じさせずにサラッと軽やかに描く。

 

彼女のように、言葉で世界を甘くコーティングしたい。

大それた物語はかけなくてもいいから、

言葉選びだけは、上手くなったねって言われたい。

 

苦いオレンジに、もだえるように甘いチョコレートをかけて、そばにいる人を幸せにできたらなと思う。そのために言葉を紡ぎたい。